1960年に設立された安多化粧合板製作所。設立当時はTV、オーディオ等の家電製品部材としての化粧合板を製造していました。そう、昔の家電は突板で装飾されていたんです。
その後、住宅内装の突板化粧合板のニーズが高まり、弊社も壁面や家具用素材として化粧合板を製造開始。応接室にはローズウッド、建具はタモで決まり!そんな時代もありました。
百貨店の内装にも突板が使われ始め、店舗内装素材として突板が脚光を浴び、意匠素材として突板の使用が始まりました。多様な柄を持つ木の意匠が登場したのもこの時代からです。店舗だけではなく、ホテル、コンサートホール、美術館等、いろいろなプロジェクトに欠かせない素材となりました。弊社も独自の海外ネットワークを構築し、世界中から多種多様な素材を取り揃えてまいりました。
この突板文化を支えてきたのが”銘木”と呼ばれるキーワード。
木目が真っ直ぐに伸び、綺麗なタケノコ木目を出す限られた木だけが、銘木として流通し、突板製品もこの銘木を使って製造されてきました。
カタログ製品として販売しやすくするための突板の”規格”もあったのです。
しかしながら弊社では、昨今のインテリアトレンドを背景に、規格性よりも意匠性を重視し、樹のもつ本来の自然な味わいを求め、”銘木”や”規格”にこだわらない製品つくりを行っています。
規格外。
そこにはあらゆるチャレンジがあります。
まずは、木をデザインする力。
国内外のデザイントレンドを常に先取りし、それを基にしたクリエイターとの交流の中で生まれてくる木のデザイン。
私たちの関わるプロジェクトは全てがテストケース。自分達のアイデアやデザインがどのように個々のプロジェクトにインストールできるのか?突板のプロとしてクリエイターとの真剣勝負がここにあります。
そして、原材料の確保。
銘木とは”金になる名木”。流通に流れない”規格外の木”は手間を掛けて山から切り出してもお金にはなりません。山に残って町には下りてこないのです。木材流通業者に頼らず、自分達自身で山に入り、”規格外の木”を探し出す。自分達のセンスで選んだ木だけを、必要な量だけ切り出し、そして自分たちのセンスで製材、スライス、貼り加工を行っています。山作業からデザイン、そして製造まで。一貫した製造プロセスを目指しています。
また環境についても私たちは考えます。
今のデザインの根底に流れるサスティナビリティー。深刻な森林崩壊問題の根底には、林業従事者が林業では生活採算が取れないため、山を放置したり、伐採して住宅、工業地に転売することが主な原因です。 ”銘木”だけでなく、その他の木も有効利用することで山の地場産業を活性化し、森林を守ることができるはず。私たちはそんな想いで林地残材を積極的に利用し、そこにデザインを組み込むことで魅力ある製品を作り上げています。
最近は木が少なくなってるので・・・・という言葉をよく聞きますが、手入れされた銘木が少なくなっているだけで、山には木が沢山あります。これを使わず放置するほうがよっぽど環境には悪影響を及ぼすのです。
そして、ただ闇雲に木を切るのではなく、動植物保護、水資源、土壌資源の保全等を踏まえたうえで山の木を利用する。私たちは森林木材の国際環境基準であるFSC認証をいち早く取得し、環境とビジネスのサスティナブルを目指し常にベストプラクティスに挑戦しています。
製品作りに終わることなく、そのデザインや環境問題にも積極的に
取り組んでいく。 私たちYASUTA VS&Dの想いです。